花粉症の治療

gf1060176927x毎年花粉の飛散とともに、花粉症の発症が増加します。漢方薬では眠くなることなく、即効性が期待できます。
小青竜湯が有名ですが、その他の漢方薬も使用しています。
鼻水にはもちろん、通常の治療で効果のない鼻閉に効果がある場合もあります。
毎年花粉症に悩まされている方は、花粉が飛散して症状が出現する前から治療を開始したほうがよい場合があります。
お早めにご相談ください。このほか外科的治療、減感作療法などもあります。

1.くしゃみ、鼻水型 花粉症

小青竜湯(ショウセイリュウトウ)

くしゃみ、鼻水の症状に効果があります。
花粉症、鼻カゼ、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、などに用います。

麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)

カゼのひき始めで、倦怠感と悪寒が著しく、発熱やふしぶしの痛み、痛頭などをともなうときに用います
(血圧が高い場合は注意が必要)

麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)

ひどい咳や気管支喘息の方に。
気管支を広げ、また痰を出しやすくして呼吸を楽にすてくれます。

越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)

口渇、浮腫、尿不利
・下肢のはれや痛み (熱感を伴うこともある)
体の熱や腫れ、痛みを発散して治します。
病気の初期で、比較的体力のある人に向いています。

2.鼻閉型(鼻づまり) 花粉症

葛根湯加川弓辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)

鼻づまりを改善する効果が期待できます。
比較的体力があり、頭重感や肩こりを伴う人に向いています。

辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)

患部に熱感や痛みを伴うときの鼻づまりを改善する効果が期待できます。

荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)

体の熱や腫れをやわらげ、血液循環をよくします。血行が悪く皮膚の色が浅黒い人に向いています。
蓄膿症や慢性鼻炎、痰がからむ扁桃炎、湿疹などに適応します。

3.寛解期(体質治療) 症状が次第に軽くなり、体質改善治療

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

冷え症 水っぽい顔色
生理痛、生理不順、生理出血が多い方、月経困難症
血行をよくして体をあたため、貧血症状を改善します。痛みをやわらげたり、ホルモンバランスを整える効果も期待できます。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガンリョウ)

鼻の頭が赤いか暗赤色のもの、月経痛、肩こりなど
皮下出血、患部の腫脹を伴う外傷、縫合糸膿瘍の治療にも応用
しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび 、月経痛、更年期障害、血の道症注)、月経不順、月経異常、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)

小建中湯(ショウケンチュウトウ)

虚弱体質、鼻血の出やすいもの
腹痛をやわらげて胃腸の調子をよくしてくれます。体力をつけて体を丈夫にしてくれます。

真武湯(シンブトウ)

冷えると水鼻のでるもの
体を温め、体の機能を高める働きをしてくれます。冷え性でやせ型、下痢や腹痛を起こしやすい人に向く。

人参湯(ニンジントウ)

胃腸の弱いもの
胃腸の働きを高めて、胃痛、食欲不振、胃もたれ、下痢などを改善します。

柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)

胸脇苦満を参考に柴胡剤から選択
痛みをやわらげ、体の熱や炎症をひく働き。
長びくカゼで微熱や頭痛・食欲不振をともなうとき
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胆石、肝炎など上部消化器系の病気にも適応します。

半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)

消化器症状と関連
胃腸の働きをよくして、食欲不振や胃もたれ、下痢などを治します。
口内炎や神経症にも。

加味逍遥散(カミショウヨウサン)

のぼせなど上半身の熱をさまし、血液循環をよくしてホルモンのバランスをととのえます。
女性向けでイライラや不安感をともなうときに向きます。
手足の冷え、のぼせ、生理不順や生理痛、頭痛、肩こり、けん怠感、不眠、神経症
更年期障害や自律神経失調、月経前緊張症などにも好適です。

八味地黄丸(ハチミジオウガン)

加齢に関連した症状、体力が低下し、顔色もすぐれず、冷えをともなうときに。
足腰の痛みやしびれ、腎機能低下にともなう夜間頻尿、乾燥肌のカユミや湿疹などに用います。
前立腺肥大症や糖尿病にも適応します。

花粉症のメカニズム

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1、花粉などの抗原を認識することで、IgE抗体が産生されます。
2、肥満細胞上のIgE抗体に花粉が結合し、肥満細胞からヒスタミン、ロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが放出されます。
3、ヒスタミンなどが鼻粘膜に作用し、くしゃみ、鼻水、鼻閉が起こります。
4、慢性になると炎症細胞浸潤がおこり、鼻粘膜が肥厚し、鼻閉がひどくなります。
 
抗原(花粉)の回避

花粉飛散状況を参考に外出を控えたり、マスク、めがね、ゴーグルなどで花粉を回避する。帰宅したら、室内への花粉の侵入を防ぐ

薬物治療(内服)
通常の薬剤と漢方薬を併用する症例が多い傾向にあります。もっとも一般的な抗ヒスタミン剤による治療で効果がある場合は、1種類の内服だけでよいのですが、不十分な例が多いのが現状です。眠くならず即効性が期待できる漢方薬を使用することで、より効果があがる例があります。その他の薬剤、点鼻薬、点眼薬も組み合わせて治療しています。
 

代表的な薬剤を提示します。

抗ヒスタミン薬(第2世代H1拮抗薬):肥満細胞から放出されたヒスタミンがH1受容体に作用するのをブロックする薬剤 くしゃみ、鼻水などに効果があります。
タリオン、アレジオン、アレロック、ジルテックなど
メディエーター遊離抑制剤:肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエン、プロスタグランディンD2などのメディエーターの遊離を抑制する薬剤 インタール、リザベンなど
ロイコトリエン受容体拮抗薬:ロイコトリエンに拮抗し、特に鼻閉に効果があります。気管支喘息の治療にも使われます。
経口ステロイド剤:重症例で使用されることがあります。
 
点鼻薬

メディエーター遊離抑制剤:インタールなど 副作用が少ないのが特徴です。朝起きたときと寝る前を含めて1日3~4回使用します。
抗ヒスタミン薬:リボスチン点鼻薬など 肥満細胞から放出されたヒスタミンがH1受容体に作用するのをブロックする薬剤 くしゃみ、鼻水などに効果があります。
血管収縮薬:ナーベル、トークなど 長期使用で鼻粘膜肥厚による鼻閉が起こる事があるので、使用は数日間が望ましい薬です。
 
ステロイド薬:フルナーゼ、リノコートなど
 
点眼薬
抗ヒスタミン薬:リボスチン点鼻薬 パタノール(抗ヒスタミン作用の他、抗アレルギー作用もある)など
 

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